開始時期・期間について
お子さんの場合
お子さんの矯正治療には、成長段階によって「適切な開始時期」があります。大きく分けると、前歯が生え変わる頃の「乳歯列期」と、すべての歯が永久歯に生え変わってからの「永久歯列期」の2つの時期です。
乳歯列期(第1期治療期)
乳歯列期(第1期治療期)の治療対象になるのは「小学生まで」が目安。下記のような症状の前兆が見られたら、少しでも早くご相談ください。
このような症状が出たらご相談ください
1.顎の骨の発育異常に関係するもの。たとえば、受け口や出ッ歯など
2.歯ブラシを上手に使用しても清掃ができないくらい凸凹な歯並び(乱杭歯)
3.顎の自由な運動が妨げられ、障害を起こすような歯並びの異常
4.普段から口を開きっぱなしで、鼻で息をせず口で口呼吸する
5.小児のいびきや小児ぜんそくがあり、顎の発育が悪い方
6.指しゃぶりや舌突出癖など、歯並びや発音に影響がある場
永久歯列期(第2期治療期)
中学生以後すべての歯並び異常が、永久歯列期(第2期治療期)としての治療対象になります。
骨格的な問題はなく歯並びだけが凸凹している場合や八重歯などは、この時期まで待ってから治療を始めても充分間に合います。また、第1期治療を受けた方の多くは、この第2期で仕上げの治療をします。
つまり、この時期が本格的な矯正治療の時期でもあり、治療器具も、状態によって様々なものを使い分けるようになります。2年前後かけて治療するケースが多くなってきます。
適切な治療開始時期を知るには、まず、矯正を専門とする歯科医師に相談をすることです。また、「治療はもう少し時間が経ってから…」となった場合も、治療開始までの間、定期的なチェックを受けることで状態の変化を見逃すことなく、より効率的な治療が受けられます。
治療時期を逃した方も諦めないでください
「部活や受験勉強が忙しくて、高校を卒業するまでに矯正治療を受けることができなかった」という方が、大学生や社会人になってから矯正治療を受けるケースが大変多くなっています。大人になってからでは矯正治療はできないと思っている方がいらっしゃるようですが、歯槽膿漏や歯周病などの問題がなければ、40歳、50歳、60歳でも矯正が可能です。諦めていた方も、ぜひ一度ご相談ください。
大人になってからでも矯正できます
「大人の歯並びや咬み合わせは変化しない」と思われがちですが、実際は、歯は生涯を通じてわずかづつ自然に動き続けています。それにより、抜歯した後の隙間を放っておいたことや、歯周病、親知らず、外傷などの影響などで、歯並びや咬み合わせに変化が生じることも。
矯正治療は、長い時間をかけて少しづつ顎の中で歯を動かし、悪い歯並びや咬み合わせを治す治療です。じっくり対応することで、大人になってからでも矯正は可能ですので、歯並びが気になる方、コンプレックスをお持ちの方なども、諦めないでください。
歯が動くメカニズム
歯と、歯の周囲の骨(歯槽骨)の間には、繊維に富んだ「歯根膜」という組織があります。
動かしたい歯に矯正装置で適度な力を加えて歯根膜を圧迫すると、そこに「骨を吸収する細胞(破骨細胞)」が現れます。一方、圧迫を受けた部分の反対側(引っ張られる側)の歯根膜には、「骨を作るもとになる細胞(骨芽細胞)」が生じ、この2種類の細胞の活動によって、歯はゆっくり動き出します。この歯根膜じん帯が引っ張られるために矯正治療中の歯の痛みが生じます。当院では治療初期の特に痛みを感じやすい時期に優しい力で歯を動かすよう、細かくて柔らかいワイヤーを採用しております。
これは、歯が骨の中を通って自然に生えてくる変化と同じメカニズム。矯正歯科治療では、このメカニズムを利用&コントロールすべく、加える力の大きさや方向を正確に計算して、歯を無理なく目的の場所へ動かします。
歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療
約10年前から用いられている治療法で、顎の骨にごく小さなスクリューを植えて歯を引っ張る支え(固定源)にすることで、ヘッドギアやゴム等を使用した場合と同じ治療結果が、それらを用いなくても短い治療期間で得られるようになりました。この方法を「歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療」といいます。