マウスピース矯正
マウスピース矯正とは
マウスピース矯正とは、ワイヤーやブラケットを使わず、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)と呼ばれる、透明で取り外し可能なマウスピースを用いて行う矯正治療方法です。
矯正装置自体が透明なので装着しても目立ちにくく、周囲の人にも気づかれにくいのが特徴です。
また、取り外しできるため食事や歯磨きが普段と変わらず行え、矯正装置の洗浄も簡単なため衛生的です。
通常の矯正はワイヤーを用いて徐々に歯を動かしますが、マウスピース矯正は定期的に新しいマウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)を交換しながら徐々に歯を動かします。ブラケットやワイヤーを使わないため、「固定式の装置をつけるのは抵抗がある」という方にお勧めです。
マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)
検査、診断後、独自のシミュレーションソフトを通じ、コンピュータ画面上で治療完了に至るまでの総合的な治療計画を立てます。治療計画に基づき、透明な矯正装置(アライナー)を作り、通常1~2週間ごとに新しい矯正装置に交換しながら、1日20~22時間以上装着します。ご自身で装置をつけ外しできる分、使用時間を指示通りに守ることが大切です。
マウスピースは段階的に形を変えてあるので、その形に合わせて歯はゆっくり目標の位置まで動くように設計されています。段階的に交換していくマウスピースの枚数は患者さん毎に異なります。
難易度が上がると枚数が増える傾向にあります。マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)は、最初の段階ですべての矯正装置を作成しますので、その後の通院は、患者さんの都合に合わせて調整できるので、忙しい方にも適した治療法です。
治療段階に応じたマウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)を作成するために、3Dデジタルスキャナー(光学印象機器)を用いて歯の型採りを行います。その後、得られたデータをコンピュータ上で歯の移動のシミュレーションをして、矯正装置を作成します。
※マウスピース型カスタムメイド矯正装置(製品名:インビザライン)は未承認完成物薬機法対象外の矯正歯科装置、医療機器法および歯科技工法上の対象外の矯正歯科装置に該当し、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
3次元のデジタル印象採得装置による歯の型採り
当院では歯型を採るのに、「iTero」と呼ばれる3Dデジタルスキャナー(光学印象機器)を使用しています。
口腔内を素早く連続して3次元でスキャニングし、歯及び歯列の画像データを取得します。
従来は粘土のような材料(印象材)をトレーに盛って、歯を押し込むように歯型を採りましたが、3Dデジタルスキャナーにより、歯及び歯列をスキャンしてデータ化する光学スキャニングが可能になりました。
また、スキャナーの先端は口の中に入りやすく、そのまま口の中で動かしても遜色ない構造になっており、お口を開けるだけでデータの取得が完了します。使用するスキャナーの先端は取り外し式で交換するタイプであるため、使用時は常に清潔なものを用います。歯型を採る際に「吐き気がする」方の負担もある程度減らせます。
取得したお口の中の3Dデータはコンピュータで解析を行い、治療開始から治療終了までの治療計画を作成して、歯の動きを予測します。そしてその予測から弾き出した結果より、患者さんの歯の移動予測に応じたマウスピースをカスタムメイドで作成します。
従来の矯正装置との比較
従来のブラケットやワイヤーを用いた矯正と異なり、取り外し可能なため無理なく食事や歯磨きが行えます。
矯正装置自体が透明なので周囲に気づかれにくい状態で矯正治療を行い、歯並びを整えることができます。
また、金属を使用しないため、金属アレルギーの方も矯正治療を行うことが可能です。
※当院では抜歯を伴う矯正治療など治療難易度が高い症例に対してはマウスピース矯正よりもワイヤー矯正の方が想定外の歯の移動を起こさず、計画通りに治療を進めていけると考えております。そのような症例に対してはワイヤー矯正をご提案することになると思われます。
治療方針を検討した上でご提案しますので、予めご了承ください。
メリット・デメリット
<主なメリット>
- 装置が透明なので目立ちにくい
- ワイヤーを使用しないので食事がスムーズに摂れる
- 装置を外して歯磨きできる
- 装置を洗浄できる
- 金属アレルギーでも治療が可能
- 通院回数が通常の矯正に比べて少ない
<主なデメリット>
- 症例により治療できない場合がある
- 就寝時も含め、決められた時間(1日20~22時間以上)装置をつける必要がある
- 治療計画通りにマウスピースを装着できない場合、マウスピースの再製作が必要になる
- 治療状況に応じてマウスピースを再製作する場合がある
- 歯の形が変わった場合は、マウスピースを再製作する必要がある
- 虫歯や被せものの治療は、矯正治療を開始する前に済ませる必要がある
- ワイヤー矯正を併用しなければいけないことがある
- 日本国の薬機法上の医療機器および歯科技工法上の矯正装置に該当していない
公益社団法人 日本矯正歯科学会 ポジションステートメント マウスピース型矯正装置による治療に関する見解をご一読ください。
治療の流れ
-
1
- カウンセリング
- 歯に関する悩みや問題点を伺います。満足いく治療結果を目指すため、この段階で疑問や不安を解消してください。未成年の方は必ず保護者同伴でお願いします。通常の矯正治療と同じく、検査、診断、治療方針の設定となります。
-
2
- 検査(口腔内スキャンなど)
- 顎の成長のバランスや位置関係、歯の状態を知るためにレントゲン写真、歯型、顔や口腔内を3Dデジタルスキャナーでスキャンします。得られたデジタルデータより、後日3Dデジタル分析を行い3Dコンピュータ画像で治療計画のシミュレーションを行います。患者さんの歯がどのように動くか、立体的なアニメーション画像で確認できます。その他、顔写真、口腔内写真、レントゲン撮影を行います。
-
3
- 診断
- マウスピース型カスタムメイド矯正装置で治療可能かどうか、どのような治療となるかお伝えします。
-
4
- 矯正装置の製作
- Step2の検査データ及びシミュレーション結果を、メーカーに送信します。患者さん一人ひとりの症例に合わせた矯正装置を、治療に要する個数すべて製作します。
-
5
- 治療開始
- 治療段階に応じてマウスピース型矯正装置1組を約1~2週間ずつ、付け替えます。治療に必要なマウスピースの組数は人により異なります。 矯正装置の装着は就寝時も含め1日20~22時間以上を遵守してください。飲食や歯磨きなどの時間以外は装着することを心がけましょう。
-
6
- 保定
- 矯正治療の完了後は歯並びを安定させるため、歯並びを安定させるための(リテーナーと呼ばれる)マウスピースを使用します。3~4ヶ月に1度の通院で、咬み合わせや歯の状態を確認します。
よくあるご質問
- 通院はどれくらいの頻度ですか?
- 治療のステージによって変わりますが、おおむね2週間~2か月に1度の通院をお願いします。
- 矯正装置は1日どれくらい装着すればよいですか?
- 1日に20~22時間以上つけてください。食事や歯磨き以外は「常につける」と考えてください。
- 治療期間中の食事や飲みものについて制限はありますか?
- 特別な指示がない限りありませんが、飲食時は破損を防ぐため、矯正装置をなるべく外してください。
- 矯正装置のメインテナンスはどのようにしたらよいですか?
- 矯正装置を装着する前や外した時は水洗いしてください。汚れが気になるようでしたらご自分の歯ブラシを用いて洗っていただいても結構です。装置専用の洗浄剤もありますのでご相談ください。
- 矯正装置をつけると痛みが生じますか?
- 矯正装置が新しくなった数日間は多少の痛みが生じます。目的の位置まで歯が動く時の痛みですので徐々に解消します。
- マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)で治療できないケースはありますか?
- 当院では抜歯を伴う矯正治療など治療難易度が高い症例に対してはマウスピース矯正よりもワイヤー矯正の方が想定外の歯の移動を起こさず、計画通りに治療を進めていけると考えております。そのような症例に対してはワイヤー矯正をご提案することになると思われます。
- 前歯が部分的に傾いている程度でもマウスピースを用いて治療を行うことは可能でしょうか?
- 口内状況について確認の上、可能かどうか診断いたしますのでご相談ください。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。
また、歯が動くと隠れていた虫歯が見えるようになることもあります。 - 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)や虫歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により咬み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。
加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると咬み合わせや歯並びが変化することがあります。 その場合、再治療等が必要になることがあります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。