メインテナンス・ケア
メインテナンス・ケア

矯正治療中に虫歯ができると、虫歯の治療のために、矯正治療を一時中断しなくてはなりません。そうなると、せっかく動いた歯が元に戻ってしまい、それまでの治療が無駄になってしまいます。限られた時間の中で矯正を行うためには、矯正治療中の虫歯予防はとても重要です。
当院では虫歯予防にも重点を置き、皆さんが矯正治療中に虫歯になってしまわないよう、装置などの様々な工夫はもちろん、定期的なチェック、及び適切なブラッシング指導を行っています。
虫歯になりにくいように装置や接着剤を工夫

矯正装置と歯の隙間に汚れが入り、そこから虫歯になってしまうケースがあります。
それを防ぐために当院では、装置と歯の間をしっかり密封できる接着剤を使用しています。こうすることで汚れが隙間に入らなくなり、虫歯のリスクを抑えることができるのです。
虫歯予防に効果的なブラッシングを指導

矯正装置を装着しているために歯の磨き方が不十分になると、虫歯のリスクが高まります。そこで当院では、矯正治療に入る前に歯垢のチェックや、お口の状態に合わせた効果的なブラッシング方法のアドバイスなどを行います。
そして2~3週後に歯垢の染め出しをして、しっかり磨けているかチェックし、正しいセルフケアができるように指導してから矯正治療を始めるようにしています。
歯科衛生士による歯のクリーニング【PMTC】

PMTCとは、Professional Mechanical Tooth Cleaningの略で、プロの歯科スタッフが行う専門的なクリーニングのこと。当院では月1回の調整、そして年数回のメインテナンスの際などにPMTCを行うことで、患者さんの虫歯・口臭・歯周病などの予防に注力しています。
PMTCは予防治療で用いられるクリーニング法で、通常の歯磨きでは除去できないバイオフィルム(細菌の作った膜)や歯石など取り去ることが可能です。また、処置後にフッ化物入りのペーストで歯をコーティングすると、歯のエナメル質が強化され、虫歯や歯周病の予防効果も得られます。
初期虫歯にはフッ素塗布で素早く対応
万が一虫歯になってしまったときは、初期段階で食い止めるためにフッ素塗布を行っています。フッ素には、歯の石灰化を促したり、細菌の活動を抑制させる効果があるので、初期の虫歯であれば再石灰化効果のみで治癒し、矯正がスムーズに続けられる可能性もあります。
矯正治療の虫歯は、スムーズな治療進行にとって大敵です。万が一の場合に、少しでも早い段階で処置するために、定期的なメインテナンスを欠かさないように留意してください。
矯正の効果を高めるプログラム【MFT】
MFTとは、口の周りの筋肉(舌、口唇および顔面の筋肉など)を鍛えてバランスを整え、正しく機能させるためのプログラムです。口の周囲の筋肉の動きと歯並びは密接な関係にあるため、筋肉が正しい動きをするように導くことで、より安定した矯正治療の効果が得られます。
当院では、MFTが必要な患者さんには系統立てた筋機能訓練を個別で行い、舌やお口の周りの筋肉が「正しい動き」をするように習慣付けていきます。
MFTの目的は口腔周囲筋のバランスを整えること

歯は、顎の骨や歯茎に支えられて生えています。歯の表側は口唇・頬などに、裏側は舌に守られています。このように、歯並びや咬み合わせ、顎の形状は、お口の周りの筋肉口腔周囲筋によって形成されています。
歯並びに問題のある患者さんの場合、お口の周りの筋肉が力のバランスを崩していることがあり、MFTによって口腔周囲筋のバランスを整えることで、より安定した矯正治療を行うことができます。また、歯に不要なストレスがかかるのを軽減する効果もあります。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。
また、歯が動くと隠れていた虫歯が見えるようになることもあります。 - 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)や虫歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により咬み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。
加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると咬み合わせや歯並びが変化することがあります。 その場合、再治療等が必要になることがあります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。